紫川水上劇場 「紫・まれびとエビス〜紫川物語〜」

 北九州に流れる「むらさき」と呼ばれる川での物語・・・

その村には、記憶のない青年・エビスが暮らしていた。
ある時、海から彼らを「棲む地を失いし者ども」が襲った。
助けを求め、禁断の地:タタラ製鉄を生業(なりわい)とする「流浪の山の者ども」の村へエビスは向かう。
そこで出逢った少女は、苛酷な運命を背負っていた―。
 
演出は旧東ドイツより来訪、日本全国で活躍中のペーター・ゲスナー
脚本は映画「千年火」「卒業写真」の高坂圭
音楽監督はヴァイオリンの鬼才:谷本仰
総勢100余名の参加者で作り上げる一大ページェント!
 
【出演】
エビス:フェルナンデス直行(19)オーディションより
ムラサキ:難波志帆(15)オーディションより

◇荒牧大道[うずめ劇場]
◇梅田剛利[翔空間]
◇江口之章[青春座]
◇江口靖[黄色い自転車]
◇大槻オサム[単独旅行舎/広島]
◇吉蜑タ代子[翔空間]
◇桑島寿彦[飛ぶ劇場] 
◇坂根啓子[青春座]
◇野口ジュン
◇山口恭子[紅生姜] 
他30余名 
■民話「むらさき川」あらすじ
 
 むかし、企救川のほとりの浅茅野(あさじの)という漁師の村に、マツガエという漁師と妻のワカメとエビスという若者が三人で幸せに暮らしていました。
 ある冬の夜、玄海の海賊に襲撃され、村は壊滅状態に・・・。
 村を救うためエビスは、山の民に食べ物を分けてもらおうと思い立ちます。
 しかし、「山の民は他の村の者が入ると殺してしまう」と言われており、村人は止めますが、エビスは、危険をかえりみず山へと向かいます。
 その途中、山の長・キクヒコの妹ムラサキと出会います。
 エビスの話を聞いたムラサキは、キクヒコにエビスの話を伝え、熱心に頼みます。
 キクヒコは、妹の熱意にほだされ、「一ト月以内に鯛を百匹釣ってくれば、頼みを聞こう」という条件を出しました。
 頭を抱えるエビスですが、ムラサキは彼をはげまし、「毎日、川にアイゾメの木の実を流して紫に染め、成功を祈りましょう」と約束します。
 元気づけられたエビスは、村に帰り、漁に励みます。
 しかし、約束の日までわずかという時、エビスは荒波にのまれて帰らぬ人に。
 川上のムラサキはエビスの死を知らぬまま、毎日アイゾメの実を流し、いつまでも帰りを待ち続けました。
 紫に染まり続けたこの企救川を、やがて”むらさき川”と呼ぶようになったということです。
 
「北九州むかしばなし」(平成14年発行/北九州市企画政策室編集)より
 「まち」は、その土地を愛する「まれびと」によって新しくなる


「エビス」は異郷から流れ着いた「まれびと」として、人々から特殊な目を向けられています。

15年前に旧東ドイツより北九州へやって来た演出家:ペーター・ゲスナー(うずめ劇場主宰)は、かねてより紫川に魅せられていました。そこにまつわる物語を、北九州に産まれ育ちながらも知ることのなかった我々に教えてくれたのも彼であり、まさにそれは「まれびと」からのプレゼントでした。

古来、まれびとがその「地」「人」と、より良い出逢いをすることで、「まち」というものが形作られて来たのだと実感しています。

ヴァイオリン奏者の谷本仰も、20年ちかく前に大阪から居を移し、この地に根をはって、音楽を通じた様々な活動をしています。北九州で培った縁によって、今回音楽監督を担うこととなりました。
振付のつかのみきは島原出身ながら、北九州のコンテンポラリーダンスの草分けとなったダンサーです。
脚本は、映画「千年火」や「卒業写真」など、福岡近郊を舞台に「わが町」として実感のあるシナリオを産み続けている高坂圭が書き下ろしました。

出演者たちも「この地」に集い、共に作品を作っていきます。

人がその土地に「留まろう」「ここで生きよう」と思うのは、何によるものでしょう。

そして我々は常に「まれびと」として生きる局面を持っているのかもしれません。

※)「まれびと」とは・・・海のかなたの異郷(常世)から来て、人々に祝福を与えて去る神。客人であり、畏怖と同時に、尊敬される存在。



【演出】ペーター・ゲスナー
【脚本】高坂 圭
【音楽監督・作曲】谷本 仰
【演出部統括】大塚 恵美子
【振付】つかの みき
【美術】内山 勉
【衣裳】うどの あすか
【照明】時佐 勝《STUDIO GOBLIN》


◇技術部統括:矢野肇郁《WERK》 
◇客席施工:古村義明 
◇イメージ曲:熊本陵平 
◇実行委員長:古村篤子 《製作堂 隗》 
◇広報:廣田芳佳《Hacia》 
◇事務局長:谷瀬未紀 《ピカラック》


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