海峡演劇祭2010」参加

『Dialogues in the Dark〜光/身体/闇〜』










Dialogue[s]−対話たち


「海峡」である。

それは「あちら」と「こちら」を隔てる壁でありながら
同時に「あちら」と「こちら」を通い合わせる道であり
そして「あちら」と「こちら」の間を滔々と流れる
「あちら」でも「こちら」でもない、もうひとつの世界である。

大袈裟な物言いは好きではないのだが、「表現者」は、いや「表現」は(とあえて言い切ってみよう)「海峡」のようなものかもしれないと思う。
陸地と陸地に挟まれた海域をそのサイズにかかわらず、ひとまずは「海峡」と定義するのであれば、この日本という島国の内も外もを無数に隔て、また結びつける海峡のごとくに時間も空間も、ひょっとしたら次元さえ隔てたいくつもの「あちら」と「こちら」を、私たちは無謀にも「海峡」となって通い合わせてみようと思う。

思えば、この作品の初演は、上関原発建設に反対する「NO NUKES RELAY」というムーヴメントの一環でもあった。
上関原発の建設に対して30年近くもの間、補償金の受け取りも断固拒否して命がけで建設を阻止し続けている祝島。
それは、命とは何か、人の暮らしとは何かという、真摯な取り組みでもある。
世界的にも希少な生物の宝庫である小さな「海峡」を挟んだ「あちら=祝島」への、これは「こちら」からのひとつの応答でもある。
舞台に立つ、私と谷本仰との、また映像や展示や制作のスタッフ、協力の名乗りをあげてくれた人達、そして会場で出会う「あなた」との、静かな、いくつものDialogueによって、「あちら」でも「こちら」でもない、でもきっとどこかを滔々と流れている深く美しい海峡−もうひとつの世界を呼び起こしたいのである。

                         大槻オサム

2010年10月23日(土)13:00 / 16:30      
10月24日(日)16:00
 ※終演後トークタイムあり 
(開場は20分前/上演60分) 
予約2000円 当日2500円
会場 関門海峡ミュージアム(海峡ドラマシップ)多目的ホール
お問い合せ・予約 DinD制作の会 Tel.093-873-7460 
Mail:tandoku_ryokousha@yahoo.co.jp

演  奏:谷本 仰 
身体表現:大槻オサム
映  像:上杉知弘 
展  示:湯浅正恵 

会場では様々な写真や映像を「展示」しました。


Tremolo Angelos