「チェルノブイリや東海村の臨界事故で、いのちを奪われ、地下に埋められた人々を“復活”させて欲しい」

 上関原発建設計画に対し30年にわたって補償金の拒否・建設反対運動を続けてきた
祝島の人々の声を海外に伝えるためのプロジェクト「広島・上関リンク」の発起人・湯浅正恵が
2009年、広島の身体表現者・大槻オサムにそう呼びかけた。
 
それまでも“死者の声”に耳を澄ます表現を行って来ていた大槻にだからこそ、彼女は云った。
 
そして大槻と数年にわたり表現を深め、「声」を熾すシゴトを続けてきた
北九州の音楽家・谷本仰がそのパフォーマンスを共にするのは必然の流れであった。
 
2010年1月、ふたりはまず上関原発建設に異議を表明する
「NO NUKES RELAY」というムーヴメントの一環で「即興ライブ」を行った。
 
同年10月、これを4幕1時間余りの舞台作品に構成し『Dialogues in the Dark〜光/身体/闇〜』
のタイトルで北九州「海峡演劇祭」にて上演。

 今年2月の広島公演より『ホシハ チカニ オドル』と改題、
東日本大震災と福島第一原発事故の只中で、今、3回目の上演を福岡で迎える。


『ホシハ チカニ オドル Dialogues in the Dark2011』

7月25日(月)19:30
7月26日(火)19:30
会場:ぽんプラザホール

福岡市博多区祇園町8番3号

■前売・予約  一般2000円 学生(小〜大学)1500円
■当日  2500円(一般・学生共) 
問・予約)093-873-7460(ピカラック

芝居・身体表現/大槻オサム
作曲・演奏/谷本 仰

映 像:上杉知弘
展 示:湯浅正恵
制 作:谷瀬未紀


■終演後、出演者等によるトークを行います。

25日ゲスト:菊川千賀子さん
    (「ふくおか自由学校」共同代表/「さよなら原発・福岡の人」)
26日ゲスト:山中陽子さん
    (NPO法人たんぽぽとりで)

「展示」もございますので19〜21時半のご予定でお越し下さい。

会場には様々な写真や映像を「展示」します。PIKADON PROJECT製作の黒田征太郎『ゴジラの真実』、沖縄・高江の「やんばるからのメッセージ」、祝島で起こっていること、韓国のヒロシマと呼ばれている村、2006年7月のレバノン・カナ、「かにた婦人の村」、2003年3月バグダッド、日本のホームレス問題の今、ガザの嘆き、劣化ウラン弾のもたらしたこと、他。
Dialogue[s]−対話たち


1999年9月30日、東海村。美しく青く輝く光が、人間を包み貫く。JCO臨界事故の光は、DNAを損壊し、細胞の再生機能を破壊し、身体を崩壊させた。しかし、それは人間そのものの崩壊だったのか。

1986年4月26日、チェルノブイリ。被曝して死んだ原発労働者たち。ひとりは現場で行方不明となったままだという。その遺体は、放射能を閉じ込めるために4号炉を覆って作られた分厚いコンクリートの「石棺」の中、大量の放射能に汚染されたまま25年間放置されているのだろう。消火作業に従事し、被曝死した労働者たちの遺体も、コンクリートと鉛の棺に封印されて埋められた。高レベルの核廃棄物として処理された身体たちは、しかし、物言わぬ躯(ムクロ)なのか。

1945年8月6日ヒロシマ、8月9日ナガサキ。原爆。1954年3月1日ビキニ礁沖。水爆。1991-92年、2003年バグダッド。劣化ウラン弾。光によって生み出されてきた、闇たち。

しかし闇に目を凝らすとき、そこから何かが生まれ出ようとして蠢くのが見える、ような気がするのだ。それは閉じた瞼の裏に映し出される光の文様のように、人間の脳が生み出す幻影か。それとも、闇に慣れ始めた目が、そこにあるのに見えなかったものをついに見るようになったのか。
闇に耳を傾けるとき、そこに微かなモノオトが聞こえてくる、ような気がするのだ。それは無音の中で鳴り響く耳鳴りなのか。それとも、光の轟音にかき消されて聞こえなかった、静かな細い、天使の幽かな羽音か。

この作品を、闇を世界へと照らし返す鏡の、闇を響かせる器の、興(おこ)された者たちと共に酌み交わすモノガタリの杯の、ヒトツとしたい。そう願いながら、目を凝らし耳を澄まそうと思う。

舞台に立つ「ふたり」、また映像や展示や制作のスタッフ、協力の名乗りをあげてくれた人達、そして会場で出会う「あなた」との、静かな、いくつものDialogueによって、「あちら」でも「こちら」でもない、「もうひとつの世界」を呼び起こしたいのである。

                               Tremolo Angelos
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【広島公演の感想】

広島市立大学国際学部准教授・柿木伸之さんの感想
http://nob-kakigi.cocolog-nifty.com/miszellen/2011/02/tremolo-angelos.html

大阪の野外劇団「楽市楽座」の長山現さんの感想
http://yaplog.jp/nagayamagen/archive/423

同じく「楽市楽座」の女優、佐野キリコさんの感想
http://yaplog.jp/sanokiri/archive/741

毎日新聞益田支局の上村里花さんの記事
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20110220ddlk32070300000c.html

トークゲストに来てくれた「ザ・チョッケツ」編集部のblog
http://thechokketsu.jugem.jp/

「作品に触発されて」と、一遍の詩を送って頂きました。
http://t-etc.net/a-tenshi/tremolo_angelos5.htm



広島公演データ

2月18日(金)20:00
2月19日(土)14:00/18:00


会場:カフェ・テアトロ アビエルト
広島市安佐南区八木9丁目10-40(JR可部線[上八木駅]横)
【ゲスト】
18日21時頃から  山戸明子(祝島出身) 湯浅正恵(広島市立大学)
19日15時頃から  柿木伸之(広島市立大学/ドイツ哲学)
19日19時頃から  「ザ・チョッケツ」編集部:武田惇志・林下弘憲・友田詩歩子


Tremolo Angelos