「月の沙漠」は
わたしが生まれて初めて覚えた歌です。
何年もこの歌のことは忘れていました。
ところが自分が母になった今、
再びまたこの歌の記憶が蘇ってきました。

日本の童謡なのに”砂漠“を描いた不思議なこの歌は
わたしたちにいろいろな想像をさせてくれます。
子どものころのわたしは
寝る前にこの歌のイメージを頭に思い描いたりしたものです。
そうしながらいくつかの疑問も同時に湧いてきました。

「ラクダは旅の途中でオアシスで休憩するのかな?」
「でも一度休憩してしまったら辛い旅に出るのが嫌になるかも」
「旅の目的地はどこなんだろう?」
「何のための旅なんだろう?」

子どものわたしが思いついた結論は
”ラクダは休憩せずにずっと旅を続けるだろう“
ということだけでした。

どんなに考えても目的は思いつきません。

ラクダは、”旅を続けるのみ“。

それはわたしたちの生きる姿に似ている気がします。
ずっと旅を続けるラクダの姿は自分の生きる姿なんだなぁと
大人になったわたしは思います。
そしてこの歌を覚えさせてくれた自分の親と自分、
そして自分の子ども、そしてそのまた・・・と続く生きる営みが
ラクダの旅と重なってくるのでした。

そのことを考えると、思いもつかないような永遠の営みとそして
昨日今日明日の日常の小さなことが、
何かちょっとだけ特別な感じに見えてきたりもするのです。

つかのみき


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